公益社団法人 応用物理学会

第9回化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞) 受賞者

化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)表彰委員会
委員長 天野 浩

受賞者
平山秀樹氏(理化学研究所 研究開拓本部 主任研究員)
業績
Al系窒化物結晶ヘテロ成長技術とそれを用いた深紫外線LEDの開発

化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)は,赤﨑勇氏が2009年京都賞を受賞された際の賞金の一部を基金として設立されました.本賞は,化合物半導体エレクトロニクス分野において新しい技術の開発,発明,新原理の発見,または卓越した実証システムの構築などにおいて顕著な業績をあげた方1名または1件に対して顕彰いたします.

今年度の機関誌『応用物理』による公募に対して推薦のあった候補者,および規程により前年度および前々年度までに推薦のあった候補者を選考対象者として,2018年11月開催の表彰委員会において慎重な審議を行った結果,平山秀樹氏を第9回化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)の受賞者に決定いたしました.


平山秀樹氏は,深紫外域発光素子の研究に早い段階から取り組み,AlGaN結晶の結晶欠陥の低減成長法やAlGaN発光層へのIn添加効果などで,初期から紫外域結晶の高品質化の分野で世界をリードしながら研究を展開してきた.深紫外域では,高Al組成域でAlGaNのp型結晶のホール活性化率が低く,それが発光デバイス特性を制限してきた.P型クラッド層へのキャリア漏れによる電流注入効率が低下し,またp型電極形成の難しさは基板裏面からの光取り出しが必須となり,光取り出し効率を低下させた.これらの材料特性の壁を突破し,深紫外域発光素子の高効率化を達成すべく,光デバイス技術を尽くし,デバイス研究者が考えられうる限りの機構を発光デバイスに取り込んで,それを有機的に機能させ,世界の同分野の研究者を驚かせるデバイス特性を次々に実証した.この間,デバイス特性を次々に塗り替えながら,当該分野を主導的に牽引して,材料的難しさを,新たなデバイス物理とデバイス技術で克服したところは,新規技術の開拓の観点で,極めて高く評価できる.現在,殺菌用に深紫外域LEDの社会実装が目前となっており,LED開発は,広く紫外域分野に大きな市場展開をもたらすと期待され,大きな社会的インパクトを与えるであろう.これらの観点で,深紫外域LED実用化への突破口を拓いた本業績は,青色LEDに続いて,わが国が窒化物半導体分野で築いた新たなデバイス分野ともいえ,本賞の授賞にふさわしい.

以上の理由により,平山秀樹氏を第9回化合物半導体エレクトロニクス業績賞の受賞者に選定しました.


本賞の授賞式はこの春の応用物理学会春季学術講演会の会場(2019年3月9日(土) 夕刻,東京工業大学)で行われます.また,受賞を記念して「Al系窒化物結晶ヘテロ成長技術とそれを用いた深紫外線LEDの開発」に関する記念講演を予定しています.是非ご参加ください.

2018年度化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)表彰委員会

委員長
天野 浩(名古屋大学)
委員
荒川泰彦(東京大学),尾鍋研太郞(東京大学名誉教授),岸野克巳(上智大学),木本恒暢(京都大学),熊谷義直(東京農工大学),山口敦史(金沢工業大学)