沿革
応用物理学会の沿革
本会の起源は,東京大学工学部と理化学研究所の有志の間で1930年頃から行なわれていた応用物理談話会にまでさかのぼります.
この談話会では,学問理論をいかに実社会へ適応するかを念頭において,物理から電気,機械,金属,化学など広い範囲にわたり,ときには既存の学問分野の枠内に収まらない,いわゆる学際的な問題が数多く議論されてまいりました.そのうちに,たんなる議論にとどまらず雑誌を作りたいという気運が高まり,後に日刊工業図書出版株式会社の社長になられた倉橋藤次郎氏が出版を引き受けられて,1932年7月に雑誌「応用物理」が創刊されました.
物理学と工学を結ぶ応用物理学という名を冠する雑誌は,実は本誌が世界ではじめてのものです.創刊号では長岡半太郎,本多光太郎,大河内正敏の三氏が,工学と物理学の接点としての応用物理学の重要性を説いておられます.
「応用物理」は第2次世界大戦中も途絶えることなく刊行され,研究者への貴重な情報源としての役割を果たしてきました.
第2次世界大戦後の1946年,それまでの活動を基にして,社団法人「応用物理学会」が発足.初代会長には談話会の中心であった真島正市博士が就任し,「応用物理」は学会の会誌となりました.以後,本学会は,半導体,光・量子エレクトロニクス,新素材など,それぞれの時代で工学と物理学の接点にある最先端課題,学際的なテーマに次々と取り組みながら活発な学術活動を続けております.
さらに本学会活動のほとんどが公益活動であるため,2010年9月9日に公益社団法人への移行申請を行い,2011年5月20日付で内閣総理大臣より認定を受け,そして同年6月1日に新法人登記を行い,正式に公益社団法人応用物理学会となりました.今後の活動にも,公益性の高い学会としてより広く活動を展開し,社会連携事業にも真摯に取り組んでいきます.