APEXプレスリリース(メール配信) 2010年11月4日



水素原子直接観察新聞発表記事
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1.
APEXで発表される論文の概要
- Title
- “Direct Imaging of Hydrogen within a Crystalline Environment”
- 著者
- Scott D. Findlay(東大),幾原教授(東大),他7名
- 掲載論文
- Applied Physics Express 2010年11月5日 オンライン公開版
- URL
- http://dx.doi.org/10.1143/APEX.3.116603
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2.
内容
水素吸蔵合金として知られているVH2材料の中の水素の直接観察に成功したとの報告.球面収差補正電子顕微鏡の開発以来,軽元素の観察は電子顕微鏡の研究分野のホットトピックスである.
昨年9月にLiの観察に成功した報告があったが,今回は,水素原子の観察であり,水素電池材料,水素脆性,電子デバイスの水素アニーリング等における水素の効果(置換サイト),水素拡散経路の直接観察など,その学術的,社会的インパクトは極めて大きいと思われる.原子番号1番の水素が観察できたことで(一般に質量が小さいほど観測が難しいとされている),全元素観察可能な電子顕微鏡が実現する. -
3.
実用的な応用例
*例えば,物質表面の水素の挙動が原子レベルで解明されることにより,
- (1) Siデバイスの高性能化と高信頼化の阻害要因が解明される
- (2) 水素電池の高性能化,長寿命化を実現する水素電池用材料の開発につながる
- (3) 水素吸蔵材料における吸蔵効率が大きく改善される
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4.
コメント
材料内の局所的な水素分布を可視化できれば,水素を用いる燃料電池,水素吸蔵材料の機能発現メカニズムも解明することができ,ひいてはより特性の高い材料の開発につながる.