応物セミナー「インフォマティクス」(全4回)

開催概要

応物セミナー「インフォマティクス」
第1回 インフォマティクス応用入門

日時:
2025年6月13日(金) 13:30~16:30
場所:
応物会館3階会議室(東京都文京区)+オンライン(ハイブリッド開催)
講師:
沓掛 健太朗(名古屋大学)
内容:

世界的に情報科学(インフォマティクス)を応用した研究開発が活発化しています.学術論文数は右肩上がりで急増しており,新しい研究成果が次々と報告されています.このようにインフォマティクス応用研究が広がっている一方で,何ができるかわからない,どの方法を使えば良いかわからない,何から勉強すればわからないといった声も依然として多く聞かれます.本セミナーでは,インフォマティクス応用の入門として,初心者向けの解説を行います.導入として,応用物理学会などの状況を見ながら関連分野の盛り上がりを見たのち,機械学習と最適化の基礎を出口側の観点から学びます.また近年盛り上がりを見せ,ますます重要度が高まっている各種シミュレーションとの関連を外観します.また本応物セミナーのシリーズ全体のイントロダクションとして,インフォマティクス応用研究をカテゴリ分けしてレビューします.最後に,講義をまとめ,分野の展望を述べます.

【目次】
1. イントロダクション
 ・AIの概要
 ・インフォマティクス応用研究の高まり ~応用物理学会の状況を例に~
2. 機械学習と最適化の基礎
 ・機械学習でできること
 ・最適化でできること
 ・シミュレーションとの違いと組合せ
3. インフォマティクス応用研究のレビュー
4. まとめと展望

応物セミナー「インフォマティクス」
第2回 マテリアルズインフォマティクス
—半導体からみた視点と自動・自律実験の潮流—

日時:
2025年7月2日(水) 13:30~16:30
場所:
応物会館3階会議室(東京都文京区)+オンライン(ハイブリッド開催)
講師:
知京 豊裕(物質・材料研究機構)
内容:

半導体産業において材料の重要性は今後重要になる.Imecのロードマップでは2035年に半導体デバイスにおいて材料と構造の革新が起きるとされている.従来のシリコンベース技術の限界が見え始め,新材料の探索が次世代デバイスの性能向上や低消費電力化を実現する鍵となる.そのために酸化物チャネルや2D材料(MoS2,WS2),強誘電体・スピントロニクス材料の開発が進んでいる.
このような材料開発の加速にはマテリアルズインフォマティクス(MI)とハイスループット合成・評価技術が不可欠である.MIは機械学習や量子化学計算を活用し,膨大な材料候補の中から最適な組成や構造を予測し,試行錯誤のコストを削減する.一方,ハイスループット合成は自動化技術と組み合わせることで,膨大な組成空間を短期間で探索し,データ駆動型の開発を可能にする.さらに,ロボティクスと自律制御を組み合わせた「自律実験システム」により,材料探索の効率が飛躍的に向上している.
講演では,今度の半導体デバイスの方向を俯瞰し,必要となる材料をプロセスも含めて議論し,その材料開発にどのようにMIや自動・自律実験を適用していくかを考える.

【目次】
1. 半導体ロードマップに見る今後のトレンド
2. 微細化におけるゲートスタック材料と配線材料の重要性
3. 半導体プロセスにおける材料と自動・自律化
4. 半導体材料とマテリアルズインフォマティクスの重要性
5. 自動・自律化実験の試み
6. マテリアルズインフォマティクスと生成AI
7. まとめ

応物セミナー「インフォマティクス」
第3回 計測インフォマティクスの基礎と適用事例

日時:
2025年7月17日(木) 13:30~16:30
場所:
応物会館3階会議室(東京都文京区)+オンライン(ハイブリッド開催)
講師:
鷲尾 隆(関西大学)
内容:

IoT社会の到来を受け,複雑な過程から成る計測原理を用いる先端計測技術の必要性が増大している.一方,急激な発展を見ている人工知能を含む情報科学は,不完全で複雑な大量情報から高精度・高信頼な推定を行うことに長けている.このような背景から,計測を指向した情報科学的処理と情報科学的処理を指向した計測技術の体系的な融合により,IoT社会のニーズを満たす新たな先端的計測技術の研究開発が活発化している.本講演では,計測を指向した情報科学研究分野「計測インフォマティクス」の概要,研究論点を述べ,さらにそれを情報科学的処理指向の先端的計測デバイス・装置の開発に生かした成果の詳細を,研究動向と共にお話しする.

【目次】
1. 人工知能研究と機械学習技術の概観
2. 計測インフォマティクス研究の背景
3. 計測インフォマティクスを巡る経緯と状況
4. 計測インフォマティクスの研究論点とアプローチ
5. 研究開発事例
6. 計測インフォマティクスの展望

応物セミナー「インフォマティクス」
第4回 半導体製造プロセスにおけるプロセスインフォマティクス

日時:
2025年8月4日(月) 13:30~16:30
場所:
応物会館3階会議室(東京都文京区)+オンライン(ハイブリッド開催)
講師:
茂木 弘典(東京エレクトロン(株))
内容:

近年のAI技術の発展は目覚ましく,生成AIのように我々の生活の中でも当たり前のように活用されるようになってきました.本講演では,半導体製造プロセスにおけるAI技術の適用にフォーカスし,事例紹介とともに,基本的な機械学習の理論についての解説を行います.
前半では,半導体製造プロセスにおけるプロセスインフォマティクスの適用事例の紹介,後半では,プロセスインフォマティクスを実現するための技術である機械学習および最適化技術について解説します.

【目次】
1. 半導体プロセスにおけるプロセスインフォマティクス適用事例
2. プロセスインフォマティクスを支える技術(機械学習/最適化技術)

受講料(消費税込み)

     
社会人 学生
個人会員 非会員 個人会員 非会員
応物セミナー「インフォマティクス」
第1回 インフォマティクス応用入門
(受付中)
5,000円 10,000円 1,000円 3,000円
応物セミナー「インフォマティクス」
第2回 マテリアルズインフォマティクス
—半導体からみた視点と自動・自律実験の潮流—
(受付中)
5,000円 10,000円 1,000円 3,000円
応物セミナー「インフォマティクス」
第3回 計測インフォマティクスの基礎と適用事例
5,000円 10,000円 1,000円 3,000円
応物セミナー「インフォマティクス」
第4回 半導体製造プロセスにおけるプロセスインフォマティクス
5,000円 10,000円 1,000円 3,000円
※セミナー終了後アーカイブの販売(オンデマンド配信およびテキスト)を予定しております.

参加申込(リンク先:決済サイト(イベントペイ))

応物セミナー「インフォマティクス」
第1回 インフォマティクス応用入門 申込

申込締め切り:2025年6月6日(金) 正午

応物セミナー「インフォマティクス」
第2回 マテリアルズインフォマティクス 申込

申込締め切り:2025年6月25日(水) 正午

※ 第3回以降のセミナーの受付は,準備が整い次第開始します.
※ 当セミナーの通し券の受付はありません。

講師略歴

沓掛 健太朗(名古屋大学)

名古屋大学 未来材料・システム研究所 未来エレクトロニクス集積研究センター 准教授
応用物理学会インフォマティクス応用研究会代表
博士(理学)
東北大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了.東北大学金属材料研究所助教,名古屋大学未来社会創造機構特任講師,理化学研究所革新知能統合研究センター研究員などを経て,2024年より現職.専門は結晶工学と応用情報学.趣味はマラソンと城めぐり.

知京 豊裕(物質・材料研究機構)

1959年福岡県生まれ.
1979年早稲田大学理工学部電子通信学科入学,その後,同大学大学院をへて1989年工学博士.
1989年4月,旧科学技術庁金属材料技術研究所に入所,以後,GaAs量子ドットをつかった発光素子の開発に携わる.
1999年,先導研究「コンビナトリアル材料科学の創成と先端産業への展開」に参加し,三元コンビナトリアル合成法を開発し,その手法を集積回路のHigh‐k材料やメタルゲートなどのゲートスタック材料開発に応用した.この技術を使ってFin型フラッシュメモリ用の材料開発やSi基板上の無極性GaN-LEDの開発をすすめた.
2017年よりデータ駆動型材料開発を進め,
2018年,統合型材料開発・情報基盤部門(MaDIS)材料データ科学グループ長.
2022年4月からマテリアル基盤センター 特命研究員
2022年から2023年まで外部連携部門長
2022年12月~技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)材料部門長 現在にいたる.

鷲尾 隆(関西大学)

1983年に東北大学工学部を卒業後,1985年に東北大学大学院工学研究科修士課程を修了,1988年に同博士課程を修了し,同年東北大学工学博士の学位を取得.その後,米国マサチューセッツ工科大学客員研究員,(株)三菱総合研究所研究員を経て,1996年に大阪大学産業科学研究所助教授として着任.その後,2006年に大阪大学産業科学研究所教授に昇任,2024年4月より関西大学商学部教授,2025年4月より同大学ビジネスデータサイエンス学部教授・学部長として勤務.主な受賞歴は,2009年に人工知能学会功績賞,2014年大阪大学総長顕彰(研究部門),2016年にIBM Faculty Awardを受賞.

茂木 弘典(東京エレクトロン(株))

2000年,東京エレクトロン札幌にソフトウェア・エンジニアとして入社し半導体製造装置制御ソフトウェア開発に従事.2011年から機械学習の導入プロジェクトに参画.社内向け解析ツールの開発,予測モデルを用いた異常検知,プロセス制御などの装置システムを開発.2020年,東京エレクトロン宮城に異動し,プロセス開発のDX化推進プロジェクトを牽引.2024年,東京エレクトロン デジタルデザインセンターに帰任.装置インテリジェンス化にかかわる開発をリード.

お問い合わせ先

応用物理学会事務局 人材育成・教育企画担当
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