キャリアパスと研究者 Vol.2 石井裕子さん

  • 自己紹介

    NECの石井と申します.日本女子大学大学院理学研究科修了後,新卒でNECに入社いたしました.これまで研究開発や営業,開発,新事業創出など多岐にわたる業務を経験したのち,現在は知的財産&ルールメイキング部門で研究所や新事業領域の知財戦略の立案や特許創出の支援を行っています.
    私はいま,2025年開催の大阪・関西万博にあります住友館「ミライのタネ」エリアにおります.NECは住友グループとして87の技術展示を行っています.私が知財を担当したテーマも6つほど展示されています.NECは大阪・関西万博に顔認証技術を導入しています.ゲートでの入場管理や店舗での顔認証決済に技術を活用しています.安全・安心な万博運営に貢献しています.

  • 「応用物理」の世界に進んだ
    きっかけ

    私は中学の時に数学や英語が好きだったので,理系に進みたいと思っていたのですが,理科があまり得意ではなく,理科をどうしようかなと思っていました.高校で「物理」に出会い,世の中の自然現象が数式で表されることに感動して,物理に興味を持つようになりました.ただ,女子の物理受験はとてもマイノリティだったので,そのような選択をしてもいいのだろうかという迷いはありました.ただ,その時の物理や数学の先生が若い女性の先生で,ご相談したところ,とても喜んでくれて,応援してくれたことも後押しになり,物理受験を決意しました.
    日本女子大学理学部でも物理を専攻しました.学部時代は人力飛行機を作るサークルに没頭していたので卒業研究は頑張りたいと思っていました.研究室選びの時に,素晴らしい恩師 小舘香椎子先生との出会いがあり,物理が好きという気持ちや,やる気だけで受け入れていただいて,物理の中でも光学を専攻することになりました.光の性質が様々な技術や製品に応用されていることを知り,無限の可能性を知りました.

  • 大学での研究から
    研究開発の仕事に

    修士論文では,「自然石を用いたランダムパターン光多重記録に関する研究」*を行いました.実験では,自然石のテレビ石に光を照射し,自然石から出たランダムパターンを使ってデータの記録や再生を行いました.自然石は唯一無二で複製が不可能なことから,データの記録に使われた石でないとデータの読み出しができません.また,それがセキュリティキーとして分からずに,アクセサリーのように持ち運べるというコンセプトもとても評価されました.

    *修士論文「自然石を用いたランダムパターン光多重記録に関する研究」
    複製が困難な自然石をランダムパターンの生成素子として用い,安全性が高く,身に着けて持ち運べるセキュリティキーとしての応用を実現した.
    © 2007 Nature Publishing Group
    Opt.Express (2007) に投稿・掲載された論文は,国際的な学術誌「Nature」に紹介され,自分にとっても大変自信につながりました.

    学生時代に研究の面白さを知り研究を実用化につげたいという思いから,会社でも研究職を希望しました.液晶ディスプレイや電気自動車向けの蓄電システム,波形分析による異常検知などの研究開発に携わりました.

  • 仕事と生活のつながり

    子供には,理系に興味を持ってもらいたい思いはあるのですが,嫌いにはなってほしくないので,あまり押し付けず,自然に触れる機会を作っています.具体的には,NECでは子供も一緒に会社に来て楽しめるような,ファミリーイベントやキッズスクールを開催してくれているので必ず参加するようにして,NECの技術や,親がどういったところでどのように働いているのかを知る機会を作っています.
    また,大学の研究室では定期的に集まりがあり,子供と一緒に参加させてもらっています.そこでいきいきと活躍する理系女性の姿,つながりからも刺激をもらっています.

  • 進路選択のアドバイス

    自分で考えて,自分自身で進路を選ぶことが大切だと思っています.自分が選んだ道であれば,多少の困難があっても乗り越えられると思いますし,後悔はしないと思います.特に,応用物理は幅広い分野に精通しているので,学んで損はない学問だと思っています.私自身どんな職種の時にも基本的な知識は役に立ちましたし,現在,知財の仕事をしていて,いろいろな特許提案の理解をしなければいけない時も,自分がやってきた実験やシミュレーションの感覚や経験が活きています.

  • プロフィール

    東京女子学院高等学校卒業,日本女子大学大学院理学研究科数理・物性構造科学専攻
    博士課程前期修了(理学修士).NEC入社後,研究開発・営業・開発・新事業創出など多岐に渡る業務を経験後,2023年4月より現職.