計測技術は,応用物理はもちろんすべての科学技術分野においてそれらの発展を支える基礎・基盤的技術であるとともに,科学技術の発展が逆に計測技術にもフィードバックされ,手をたずさえて発展してきたという相補的な関係をもっている.最近の傾向としては,エレクトロニクスをはじめとする先端技術分野の進展に伴って各種センシング技術の高度化がいっそう進みつつあるほか,コンピュータ技術の急速な発展によりこれまでの計測データの取得・処理方法についても量的のみならず質的な変容が起こりつつあるということがいえる.
計測技術については,本ハンドブックの他の章においても関連する量に関して個別に述べられているが,この 14章においては体系的な取りあげ方がなされており,計測および計測誤差に関する基本的考え方,計測の基本単位,基本的・代表的な物理量に関する計測技術に関して述べている.
14.1節の計測システムの設計においては,前半で計測の基礎的知識としての測定量とその誤差および誤差の低減法について,後半でいかに測定の信頼性を高める計測システムを設計するかその方法論について述べている.
14.2節の計測システムの要素においては,理論および技術的観点からのセンシング条件と極端条件,センサとトランスデューサの原理的取扱い,アナログおよびディジタル的な信号処理システム,データ諸処理法と各種分析法による評価,さらには計測における制御技術の原理について述べている.
14.3節の物理量の単位と標準では,科学技術の各分野ではほぼ定着が進んだ国際単位系 (SI)の現状,七つの基本単位の定義と歴史的経緯を含めた実現方法,さらには基礎物理定数の歴史的変遷と最新の決定法について述べている.
14.4節の物理量の計測技術では,計測技術に関する各論を述べている.基本的な物理量について,幾何学量,運動学量,力学量,熱力学温度,熱学量,電磁気量といった区分けをして,それぞれの量についての代表的な量に関する精密な計測法とそれらの特徴について述べている.
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