JABEE 分野別要件(補足説明を含む)
分野別要件 物理・応用物理学関連分野
この要件は、物理・応用物理学関連分野の技術者教育プログラムに適用される。
- 修得すべき知識・能力
本プログラムの修了生は以下の知識・能力を身につけている必要がある。
(1) |
基礎能力 |
a) |
数学(微積分学、線形代数学、ベクトル解析、物理数学)、物理学(力学、電磁気学、熱物理学、量子物理学)、基礎実験、情報科学に関する基礎基礎知識および基礎技術 |
b) |
a) を駆使して課題を理解し、的確に解決して、それらを適切に表現し、その内容を正しく伝達できる基礎能力
|
(2) |
専門能力 |
|
本分野の主要領域(物理・応用物理一般、物性・材料、物理情報計測、エレクトロニクス・素子)のうち少なくとも1領域に関する下記の能力。 |
a) |
各領域に対するプログラムの設定目標実現に必要な専門科目を系統的に修得した専門知識及び専門技術 |
b) |
a) の知識・技術を駆使して課題を探求し、的確に解決する能力 |
c) |
本分野に携わる専門技術者が経験する実務上の課題を理解し、的確に解決して、それらを適切に表現し、その内容を正しく伝達できる能力 |
- 教員
(1) |
教員団は、プログラムの設定目標実現に要求される本分野の関係する教育内容に関して教える能力を有する教員で組織されていること。 |
分野別要件補足説明
当分野の分野別要件の「1.修得すべき知識・能力」では,物理・応用物理学関連分野の教育プログラムに含まれる講義・演習・実験などを,基礎能力と専門能力に分類している。以下にそれらに関わる項目と内容を参考として示し,補足説明とする。
A.基礎能力
本プログラムの修了生は,共通に以下の基礎知識・基礎技術が備わっていること。
- 数学
- 微積分学
- 線形代数学
- ベクトル解析
- 物理数学:微分方程式,確率・統計
- 物理学
- 力学:ニュートンの運動法則,質量・運動量・エネルギーの保存,円運動,相対論基礎,振動・波動,共鳴
- 電磁気学:クーロンの法則,ガウスの法則,オームの法則,直流・交流回路,複素インピーダンス,インピーダンス整合,ビオ-サバールの法則,アンペールの法則,電磁誘導
- 熱物理学:温度,熱機関,カルノーサイクル,熱力学ポテンシャル,熱力学第0?第3法則,統計力学の原理,粒子統計,分配関数
- 量子物理学:波と粒子の二重性,不確定性原理,波動関数,確率密度,シュレディンガー方程式
- 基礎実験
- 実験基礎:データ処理,図表化,レポート作成法
- 力学
- 電磁気
- 光学
- 情報科学
- 情報基礎:離散数学,数値計算,プログラム言語
- コンピュータリテラシー:文書作成,表計算,数学的モデリング
B.専門能力
本プログラムの修了生は,以下に示す4領域の1領域または複数の領域に関連して,以下に示す専門知識・専門技術が備わっていること。
- (1) 必修として位置づけられる項目と内容の例
(教育目標を達成するために,例示した項目を複数領域にわたって組み合わせることも可能)
- 物理・応用物理一般領域
- 応用数学:複素関数,フーリエ級数,ラプラス変換,数値解析など
- 物理・応用物理学:物質科学,固体物理,光学など
- 力学・応用力学:剛体の力学,粘弾性,運動方程式など
- 電磁気学・応用電磁気学:電磁場,マックスウェル方程式,ポインティングベクトルなど
- 物性・材料領域
- 物性・材料科学:2元状態図,自由エネルギー,正則溶液近似,スピノーダル分解,拡散, 析出と時効,マルテンサイト変態,エピタキシャル成長など
- 固体物理学:固体の結合,結晶構造,バンド理論,電気的・光学的・磁気的・熱的性質など
- 物理計測工学:誤差,最小自乗法,正規分布,測定方式(零位法,補償法,置換法,差動法),応答関数,伝達関数,ボード図,負帰還,PID制御など
- 物理情報計測領域
- 物理計測・制御工学:SI単位系,偏位法と零位法,偶然誤差と系統誤差,精密度と正確度, 最小二乗法,ラプラス変換,伝達関数,ブロック線図,周波数応答,過渡応答,フィードバック制御,安定性判別など
- 光学・応用光学:光の屈折・反射・吸収,レンズ収差,光学伝達関数,光の干渉と回折,ホイヘン ス・フレネルの原理,ホログラフィ,コヒーレント・インコヒーレント光,偏光など
- 信号処理・電子回路:フーリエ変換,畳み込み積分,インパルス応答,帯域フィルタ,離散的フーリエ変換,サンプリング定理,整流・波形整形回路,トランジスタ回路,演算増幅器,スイッチング,ディジタル回路など
- エレクトロニクス・素子領域
- 固体物理学:固体の結合,結晶構造,エネルギーバンド,半導体,電気的・光学的・磁気的性質,量子効果など
- 材料工学:電子材料,光材料,磁性材料,薄膜・表面,結晶成長など
- デバイス工学:pn接合,トランジスタ,光デバイス,情報入出力デバイスなど
- 電子回路工学:アナログ回路,ディジタル回路,増幅・発振,論理演算など
- (2)選択によって系統的に修得していることが望まれる項目の例
(前記(1)と関連して,領 域を越えて組み合わせることも可能)
- 物理・応用物理一般領域
計算機数学,計算物理学,流体力学,弾性体力学,振動・波動物理学,放電・プラズマ物理学,熱・赤外線物理学,放射線物理学,統計力学,量子力学,宇宙科学,宇宙線物理学,素粒子物理学,原子核工学,低温物理学,高温物理学,地球物理,気象学,物理・応用物理学実
- 物性・材料領域
誘電体・磁性体材料,ソフトマテリアルの物理学,表面・界面科学,光物性,材料処理学,超伝導材料,無機・有機材料,物理化学,電気化学,生物物理学,医用材料,生物システム工学,遺伝子工学,物性・材料実験
- 物理情報計測領域
情報処理学,センシング工学,分光学,表面構造解析,光計測・電磁計測,真空工学,航空工学,高圧工学,レーザ工学,結晶構造解析学,人間工学,環境計測,生物計測,物理情報計測実験
- エレクトロニクス・素子領域
半導体工学,光・量子エレクトロニクス,デバイス工学,電気電子機器工学,回路理論,論理回路,情報理論,通信工学,集積回路工学,画像工学,システム工学,計算機応用,エレクトロニクス実験,設計・製図
<全領域に共通した演習・研修>
専門英語,工場実習,卒業研究など