OYO BUTURI
Vol.88
No.8
2019
8
20198888528
応用物理 第88巻 第8号 (2019)
解説

クモ糸に学ぶ構造タンパク質素材

鈴木 隆領1

現在,多くの工業材料は金属や石油由来の高分子材料によって構成され,我々の生活を支えているが,それら材料はいずれも枯渇性資源であり,日本においては輸入資源である.このような化学的に加工・合成された工業材料は産業革命以降から急激に使われ始め,その結果として我々の生活水準は格段に上がり現在に至るが,資源の分配をめぐる紛争などの政治的リスクや,PM2.5やマイクロプラスチックなどの環境問題など,マイナスの影響に常に振り回されながら生活しているのが実状である.また,天然にも多くのすばらしい材料が存在しており,古くは毛皮に始まり,近代ではシルクやウール,カシミヤなどが家畜化した動物を利用し,大量生産されている.しかしながら,それらの天然材料の使用量の拡大に伴い,家畜動物の飼育地域の砂漠化や,動物利用に関する倫理的な問題が取り沙汰されている.

  • 1 Xpiber株式会社
応用物理 第88巻 第8号 p.528 (2019) 掲載