OYO BUTURI
Vol.88
No.8
2019
8
20198888514
応用物理 第88巻 第8号 (2019)
今月号の概要

未来共創イノベーションを先導する国の研究開発プロジェクト

『応用物理』編集委員会

今号の表紙に採用したグラフは,文部科学省が作成した『科学技術白書平成30年版』†1に掲載されている多くの統計資料の中から選んだものです.我が国の科学技術予算は,長期的にみると漸増傾向にあるものの,2000年度を基準とした伸び率でみると,中国や韓国が大きな伸びを示しているところ,日本はほぼ横ばいで推移しており,主要国と比べて伸び率は低くなっています.一方,我が国の研究開発費の部門別の内訳は,企業部門が約7割,大学などが約2割を占め,企業部門の研究開発費においては,米国,中国に次いで日本は世界第3位であり,世界的にみても我が国の民間企業は研究開発活動が活発であるといえます.2008年のリーマンショックを経て2009年には明らかに落ち込んでいますが,2009年以降の研究開発費は回復基調に転じています.

長年,特に日本の大学における科学技術研究を支えてきた文部科学省の科学研究費助成事業(科研費)に加え,限られた国家予算の中から,我が国の科学技術の方向性を導くような研究開発プロジェクトが,各府省等の主導で数多く展開されています.特に最近は,内閣府主導の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」,「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」において,本会がスコープとする分野でも非常に先進的な研究が展開されています.

今号では,「巻頭言」として元・総合科学技術・イノベーション会議議員の久間和生氏に我が国の科学技術政策についてのご意見をいただき,「解説」としてImPACT研究開発プログラムから3件の研究を取り上げ,研究の成果のみならずプロジェクトの推進におけるご苦労が伝わるような記事をご寄稿いただきました.

「特別寄稿」では,さまざまな国の研究開発プロジェクトの実施あるいは支援をしてこられたプログラムオフィサー,研究総括,また運営機関である内閣府,(国研)科学技術振興機構において個々のプロジェクト立案に携わった方々,さらには,(独)日本学術振興会において科研費システムの整備に携わった方からも,貴重なご意見を頂戴しました.

また,(国研)量子科学技術研究開発機構理事長とのインタビュー記事,女性研究者からの心強い記事も本特集の意図にふさわしい流れとして紹介しています.


†1 文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課編:科学技術白書 平成30年版 (2018).

応用物理 第88巻 第8号 p.514 (2019) 掲載