OYO BUTURI
Vol.88
No.7
2019
7
20197887445
応用物理 第88巻 第7号 (2019)
解説

トポロジカル絶縁体の光駆動ディラック電流の観測 ── 光周波数スピントロニクスに向けて

木村 昭夫1

もし,振動電場としての光の1周期よりも短い時間でスピン偏極電子を制御できれば,光の周波数で駆動する超高速スピントロニクスの実現が可能になるだろう.このような光の1周期より短い分解能を備えた時間・角度分解光電子分光(ARPES)を行うことにより,トポロジカル絶縁体表面のディラック電子がテラヘルツ光電場によりバンド内で加速され,最大2A/cmもの大きな電流密度が発生することがわかった.この結果は,光周波数スピントロニクスへの道が切り開かれることを示唆する.本稿では,トポロジカル絶縁体の特徴について解説し,最近の研究動向について俯瞰ふかんしたあと,筆者らの最近の成果について紹介する.

  • 1 広島大学 大学院理学研究科物理科学専攻
応用物理 第88巻 第7号 p.445 (2019) 掲載