OYO BUTURI
Vol.87
No.11
2018
11
2018118711839
応用物理 第87巻 第11号 (2018)
研究紹介

コウモリの生物ソナーシステム

飛龍 志津子1角谷 美和2長谷 一磨1

生物が進化の過程で獲得した高度な機能やその運用方法には,未来の技術に役立つ知見が秘められているかもしれない.コウモリはイルカと並んで生物ソナーと呼ばれ,超音波を用いた優れた反響定位(エコーロケーション)能力をもつ.自動運転技術などを例にセンシングのニーズが進み,さらにビッグデータ化が加速する今,シンプルな機構で高度な技を成す,生物のセンシングシステムに学ぶ意義は大きい.さまざまな計測手段を駆使し,コウモリのエコーロケーション行動を分析することで,野生下でのダイナミックな採餌飛行や,集団で飛行する際の信号の混信回避に関する実態が,少しずつ見えてきた.コウモリは放射する超音波の特徴を,周囲の状況や得たい情報の性質に応じて巧みに変化させる.彼らの柔軟な超音波運用を模擬できれば,自動駐車や群ロボットの自律走行などに必要な高分解能の近距離センサへの応用展開が期待される.本稿では,コウモリの生物ソナーに関する概要と,最近の研究成果について紹介する.

  • 1 同志社大学 大学院生命医科学研究科
  • 2 国立研究開発法人情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター
応用物理 第87巻 第11号 p.839 (2018) 掲載