OYO BUTURI
Vol.87
No.6
2018
6
20186876401
応用物理 第87巻 第6号 (2018)
今月号の概要

光触媒/化合物半導体結晶成長/高性能・高信頼性デバイスと新しいMEMS/先端計測技術

『応用物理』編集委員会

今号では,太陽光エネルギー変換用光触媒,化合物半導体結晶成長のその場観察,高圧力下電気特性測定装置,超高移動度多結晶シリコントランジスタ,有機半導体レーザーの長寿命化,光ナノ計測とメカニカル機能,新しいMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の展開を取り上げます.

「解説」では,光触媒の最新の研究動向の1つとして,可視光によるCO2還元反応を取り上げます.この反応には主に半導体と金属錯体が研究されてきましたが,今号ではこの両者の長所を融合した反応系について解説します.また,放射光を利用した結晶成長のダイナミクス観察について詳説します.従来,困難であった薄膜結晶成長初期の動的変化観察について,その最新技術と成果を解説します.

「研究紹介」ではデバイス関連として,(100)方位制御を行ったレーザー結晶化多結晶シリコンのトランジスタ応用に関する研究を紹介します.結晶配向方位を精密に制御することで,単結晶シリコンを凌駕(りようが)する電子電界効果移動度が得られており,大面積デバイス応用に新たな可能性を示す成果です.次に,有機半導体をレーザー活性材料に用いた有機半導体レーザーの光励起モードでの擬連続発振に関する研究を紹介します.従来の報告より100倍以上の長寿命化に成功しており,電流励起有機半導体レーザーの実現に向けた布石となる研究です.MEMS技術に関しても,カリウムイオンエレクトレットによる新たな展開について取り上げます.これまでは困難であった,深く狭いギャップ電極に高密度の分極を形成することで,高出力の振動発電素子やアクチュエータ素子として適用できる研究について紹介します.先端計測技術では従来,非常に専門的な技術が必要であった超高圧力下の輸送特性の測定について,ブレークスルーとなりうる新技術を紹介します.100GPaクラスの高圧力下測定が身近になり,さまざまな物質が測定できるようになれば,物性物理の大きな進展が期待できます.また近年,分子カーレースなどで注目される動く分子を利用したナノ計測についても取り上げます.アゾ系ポリマーに光を照射すると,光異性化反応によって分子に変形が生じます.そのメカニズムとナノ分子機械や近接場イメージングなどへの応用を紹介します.

応用物理 第87巻 第6号 p.401 (2018) 掲載