OYO BUTURI
Vol.87
No.3
2018
3
20183873164
応用物理 第87巻 第3号 (2018)
解説

超解像顕微鏡の原理と展望

藤田 克昌1

Abbeの結像理論の発表以降,伝搬光を用いた光学顕微鏡の空間分解能は波長の半分程度が限界とされてきた.しかし,近年の研究開発により,光の波動性の制限を受けない顕微観察法がいくつも登場し,そのうち2つの手法の開発には2014年のノーベル化学賞が贈られた.これらの手法が従来技術の限界を超えることができた共通点は,光源,検出器,オプティクスなどの光学技術を駆使するだけでなく,試料内の蛍光物質に光を当てた際に生じるさまざまな光学効果を利用することであった.試料の光学応答を巧みに制御しながら,観察像のコントラストを形成していくことにより,波長の数十倍の空間分解能も達成されており,理論的な空間分解能の限界は存在しない技術もある.本稿では,これらの超解像顕微鏡の原理を中心に紹介し,その技術/応用面での特徴,蛍光顕微鏡以外における超解像観察の試み,および今後の技術開発の展望について概説する.

  • 1 大阪大学 大学院工学研究科
応用物理 第87巻 第3号 p.164 (2018) 掲載