OYO BUTURI
Vol.87
No.2
2018
2
2018287288
応用物理 第87巻 第2号 (2018)
総合報告

量子ドットを用いた量子情報デバイス

樽茶 清悟1

量子ドットの電子スピンは,量子情報の媒体(量子ビット)としてコヒーレンス時間が長く,物理寸法が小さいという特徴をもつことから,大規模量子コンピュータへの応用が期待されている.本稿では,スピンを含む固体系量子コンピュータの課題とされる,多量子ビット化と量子操作の高忠実度化について研究の現状と今後を概観する.従来,電子スピンを用いた量子情報の研究では,電子状態の制御性がよいGaAs量子ドットが多く用いられてきたが,最近は,集積化に有利で,コヒーレンス特性に優れたSi量子ドットが研究の主流になっている.ここでは,まずGaAs量子ドットを用いた多ビット化とデコヒーレンス抑制,続いてSi/SiGe量子ドットを用いた量子操作の高忠実度化について,我々の研究を中心に紹介する.

  • 1 東京大学 大学院工学系研究科
応用物理 第87巻 第2号 p.88 (2018) 掲載