OYO BUTURI
Vol.87
No.2
2018
2
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応用物理 第87巻 第2号 (2018)
今月号の概要

量子ドットスピン量子ビット/カーボン材料とデバイス/3Dゲルプリンタ/超高速赤外分光/単電子転送

『応用物理』編集委員会

今号では,量子ドットを用いた量子情報デバイス,微細配線応用に向けたナノカーボン材料技術,反転層型ダイヤモンド電界効果トランジスタ,ゲル・ソフトマターの3Dプリンタ技術,赤外プラズモニクスによる超高速分光,電流標準に向けた高速単電子転送に関する研究を取り上げます.材料も測定手法もさまざまですが,応用を見据えて高度な技術開発や物理の解明を目指すものであり,『応用物理』の読者にとって興味深い内容となっています.

「総合報告」では,量子情報デバイスに関する世界的な研究開発状況について紹介したあと,量子ドットのスピンを用いた量子ビットの実現や,スピン操作の高忠実度化の実証について,世界最先端の研究内容を丁寧に解説します.

「解説」では,ウェーハスケールLSI微細配線応用に向けた,グラフェンやカーボンナノチューブの低温成長,伝導制御,および微細配線形成技術について解説します.将来のデバイス材料として大いに期待されています.

「最近の展望」では,究極のパワーエレクトロニクス材料として期待されているダイヤモンド半導体を用いて,世界で初めて成功した反転層型電界効果トランジスタの動作実証の詳細と今後の展望について述べます.

「研究紹介」では,3Dプリンタ技術,超高速赤外分光,高速単電子転送について取り上げます.まず,世界に先駆けて開発したゲルの3Dプリンタ技術について紹介します.絡まり合った高分子鎖の中に溶媒を保持したゲルを3次元造形するための多くの手法や技術的課題について解説し,その応用を紹介します.次に,新規に開発された赤外分光法を紹介します.超短パルスレーザーとプラズモニクス技術を赤外分光法に導入することで,分子の構造とダイナミクスを超高速で高感度かつ表面選択的に測定することができます.さらに,高精度電流標準の実現に向けたギガヘルツ高速単電子転送について最新の成果を紹介します.国際単位系のアンペアが再定義される見通しであり,電子を高速かつ高精度に1つずつ転送する単電子ポンプについて世界最高の動作実証を紹介します.

応用物理 第87巻 第2号 p.87 (2018) 掲載