OYO BUTURI
Vol.86
No.11
2017
11
2017118611943
応用物理 第86巻 第11号 (2017)
今月号の概要

先端計測技術/パワーエレクトロニクス/薄膜トランジスタ/ライトメルト液晶接着材料

『応用物理』編集委員会

今号では,プラズモニックチップのバイオ分野への応用,宇宙線ミューオンを用いた非破壊可視化技術,シリコンテクノロジーとスケーリングIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)をベースにしたパワーエレクトロニクス,多結晶シリコン薄膜トランジスタの高性能化,酸化物薄膜トランジスタの劣化機構解析,光格子時計による標高差計測,マイクロ波分光によるエネルギー変換材料の探索,光剥離と耐熱性を両立したライトメルト液晶接着材料に関する研究を取り上げます.

「解説」では,金属薄膜でコーティングされた周期構造基板であるプラズモニックチップを高感度バイオセンサや細胞の蛍光イメージングに応用した研究について解説します.

「最近の展望」では,廃炉に向けた懸命な取り組みが続いている福島第一原子力発電所で,いまだに正確な情報が得られない燃料デブリの位置・量について,宇宙線ミューオンを活用した極めてユニークな手法で明らかにする試みを紹介します.

「研究紹介」では,パワーエレクトロニクス,薄膜トランジスタ(TFT),先端計測技術,新規機能材料に関して,以下のようなトピックスについて取り上げます.

パワーエレクトロニクスでは,パラダイムシフトを起こす可能性のあるシリコンパワーデバイス(Si-IGBT)の大幅な性能改善につながる研究を紹介します.TFTでは,低温多結晶シリコンと酸化物半導体を用いたTFT技術に関して解説します.低温多結晶シリコンTFTではレーザー結晶化法により作製した4端子TFTによる相補型インバータ回路の低電源電圧化を,酸化物TFTにおいては発熱解析によるデバイス劣化機構ならびに抵抗変化型メモリの動作解析に関する最新の成果を紹介します.

先端計測技術では,光を用いたユニークな計測技術を2つ取り上げます.1つめは,光格子時計を用いて遠隔2地点における相対論的時間の進みの差を高精度に観測し,2地点の高さの差を計測する測地実験に関する研究です.2つめは,電磁波分光の一種であるマイクロ波分光を用いたエネルギー変換材料の物性評価に関する研究です.

新規機能材料では,2つの多環芳香族ユニットをV字型に連結したユニークな構造をもつ液晶分子を基盤として開発された,光照射により剥離でき,加熱により接着力が復元するライトメルト液晶接着材料を紹介します.

応用物理 第86巻 第11号 p.943 (2017) 掲載