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第15回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)
受賞者紹介

光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)表彰委員会委員長
植田憲一

光・量子エレクトロニクス業績賞は,光・量子エレクトロニクス研究分野において顕著な業績をあげた研究者を顕彰することを目的として,故宅間宏先生(電気通信大学名誉教授)の紫綬褒章(応用物理部門)受章記念パーティーと定年記念会におけるご祝儀,および宅間宏先生からのご寄付を基金として1999年に設立されました.第15回光・量子エレクトロニクス業績賞の選考は,「応用物理」6,7,8月号に掲載された公募に対して2013年10月31日までの過去3年間に推薦があった9件の候補者について表彰委員会において慎重な審議を行った結果,保立和夫氏に第15回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)を授与することを決定しました.

なお、授賞式は2014年春季学術講演会(青山学院大学相模原キャンパス)の初日夕刻に行われます。また受賞者による受賞記念講演が学術講演会の会期中に行われますので、是非ご参集ください。

受賞者:
保立和夫氏 (東京大学 大学院工学系研究科 教授)
業績:
光ファイバーセンシングに関する先駆的・独創的研究

保立和夫氏は,1979年以来一貫して,「光ファイバーセンシングの研究」において先駆的・独創的な研究を展開してきた.「光ファイバージャイロ」の研究では,1980年に我が国初の本センサを稼働させたのに続き,雑音発生メカニズムの解明と抑圧法の研究,価格低減を可能とするシステム構成の発明,ジャイロシステムの新構成法などに関して多くの成果を蓄積し,本技術領域での世界的な牽引役を務めてきた.同氏の研究成果や啓蒙活動は,科学衛星や航空機の制御のほか,ヘリ搭載望遠カメラの安定機構やロボット制御などの民生用途も開拓してきた本ジャイロ実用化の礎となっている.また最近では,連続光波の干渉特性を任意に合成できる独自技術である「光波コヒーレンス関数の合成法」を駆使して,光ファイバーに沿う任意の点での誘導ブリルアン散乱を位置選択的に取得する「ファイバーブリルアン光相関領域解析法:Brillouin Optical Correlation Domain Analysis法(BOCDA法)」をはじめとする一連の新手法を提案して,光ファイバーに沿う歪や温度の分布を計測できる独創的な技術を開発した.BOCDA法では,他の技術を凌ぐ,mm級の空間分解能,msの1点観測時間,光ファイバーに沿う任意の測定点へのランダムアクセス機能を実現して,温度,歪分布のダイナミック計測に道を開き,これらの同時・分離・分布計測をも可能にした.同氏の研究成果に触発されて種々の手法の提案・改善も進展し,本技術領域の活性化にも貢献している.同氏が「痛みの分かる材料・構造の為の光ファイバー神経網」と名付けた独自技術は,航空機や橋梁・橋脚などの社会インフラの健全性モニタリングでの中核技術として注目され,小型ジェット機での実証研究も進展するなど,安全・安心や持続可能社会の実現に貢献できる新技術として期待されている.

保立和夫氏の永年のファイバーセンシングに関する先導的指導力と,現在もなお連続光波のコヒーレンス関数合成法,BOCDA法など独創的研究で応用分野を拡大していることを高く評価し,第15回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)の受賞者に選考した.

2013年度 光・量子エレクトロニクス業績賞表彰委員会
委員長
植田憲一
委員
大和壮一、加藤義章、菅博文、五神真、小林哲郎、清水富士夫、中沢正隆