応用物理学会
戻る
以下の記事は 応用物理 第74巻 第2号 231ページ に掲載されたものです。
【報告】
日本学術会議主催公開講演会

「どこまで進んだ男女共同参画」

応用物理学会男女共同参画委員会
近藤 高志・小舘香椎子

 2004年11月24日(水)に日本学術会議講堂および大会議室において,日本学術会議主催公開講演会「どこまで進んだ男女共同参画」が開催された.これは後藤俊夫応用物理学会前会長を中心として学術会議第5部が企画をしていたものが,その重要性が認められて学術会議主催の講演会として実現したものである.男女共同参画学協会連絡会,日本工学アカデミーと41もの理工系学協会が共催,内閣府男女共同参画局,文部科学省,経団連,学術振興会,科学技術振興機構が後援,という大変大がかりなものとなった(プログラムは下記を参照されたい).

 午前の部では,「若手・女性研究者の研究環境」と題して,若手女性研究者・技術者3名のパネリストと産学官の4名のコメンテーターを交えたパネル討論が行われた.研究者・技術者として独り立ちを目指す30歳台を中心とした若手の研究環境について活発に議論が行われ,出産・子育てとの両立への支援策,成果に対する評価のあり方など,男女を問わず深刻化しつつある若手研究者の問題に対する今後の指針が示された.

 午後の部では,科学技術分野における男女共同参画推進のために解決すべき課題と解決へ至る道筋について,各界のキーパーソンによる講演が行われた.女性の参画の重要性や,ワーク・アンド・ライフ・バランスの視点を男女とも重視すべきであることなどが強調された.また,午前の部で議論された若手研究者・技術者に対する支援が不可欠であることも確認された.

 今回の公開講演会は,多方面から250名もの参加者を得て成功を収めた.特に,午前の部には予想を大幅に超える100名以上の参加者が詰めかけ,若手の問題に対する関心の高さを再確認できたのは大きな収穫であったといえよう.男女共同参画は,古くから議論されてきた古典的な問題ではあるものの,人口構成などの社会基盤や産業構造の変化に伴って急速にその重要性が高まっている.多くの省庁関係者の出席を得てこの公開講演会が成功裏に開催されたことは,大きな意味があったと考える.

 今回の講演会は学術会議第5部の会員が中心となって企画・運営を進めたが,応用物理学会の全面的なバックアップがあって初めて実現できたものであった.榊会長をはじめとする理事各位と,運営に当たって協力してくださった男女共同参画委員会のメンバー,献身的な仕事ぶりで運営をサポートしてくださった事務局の伊藤香代子氏と日本女子大の清水賀代氏に感謝申し上げる.



このページのトップへ▲
公開講演会「どこまで進んだ男女共同参画」プログラム

午前の部

パネル討論会 ー若手・女性研究者の研究環境ー
座長 伊賀健一(学術会議第5部会員,日本学術振興会)
中村淳 (電通大)
パネリスト 坂野井和代(情報通信研究機構)
福島理恵子(東芝)
小林由佳(東大)
コメンテーター  板東久美子(文部科学省審議官)
益田隆司(電通大学長)
中島啓幾(JSTシニアフェロー)
秋山裕和(NEC特別顧問)

午後の部

総合司会 後藤俊夫(日本学術会議第5部会員)

○主催者挨拶
黒川清(日本学術会議会長)
○来賓挨拶
名取はにわ(内閣府男女共同参画局長)
相馬芳枝(男女共同参画学協会連絡会第3期委員長)
○基調講演
遠山敦子(元文部科学大臣,大学評価・学位授与機構)
「日本の未来を拓く力」
黒川清(日本学術会議会長)
「女性科学者の挑戦」
○男女共同参画学協会連絡会アンケート結果報告
座長 坂東昌子(男女共同参画学協会連絡会第2期委員長)
近藤高志(応用物理学会男女共同参画委員長,東大)
○午前の部報告
伊賀健一,中村淳
○講演
座長 遠山嘉一(富士通(株))
黒田玲子(総合科学技術会議議員,東大)
「理工系実験系分野での女性の活躍のために」
江原由美子(日本学術会議第1部会員,東京都立大)
「女性研究者の生活構造ーワーク・アンド・ライフ・バランスの視点から」
辻村みよ子(日本学術会議第2部会員,東北大学)
「法学分野の男女共同参画ー課題と取り組み」
清原慶子(東京都三鷹市長)
「科学技術分野における男女共同参画の意義〜大学教員から市長になった経験を通して」
内海房子(NECソフト(株))
「一般企業における男女共同参画の実態」
○質疑応答
座長 小舘香椎子(物理工学専門委員会副委員長,日本女子大)
服部健雄(薄膜・界面物性専門委員会委員,武蔵工大)
○集会宣言
原ひろ子(日本学術会議第17・18期第1部会員,放送大)
○挨拶
戒能通厚(日本学術会議副会長,第2部会員)

懇親会

○あいさつ
岸輝雄(日本学術会議副会長,第5部会員)
このページのトップへ 戻る