応用物理学会
戻る
以下の記事は 応用物理 第73巻 第1号 124ページ に掲載されたものです。

男女共同参画学協会連絡会第1回ポスター賞に寄せて

男女共同参画学協会連絡会 ポスター賞委員長 白石 正
(応用物理学会常務理事 男女共同参画委員会担当)

 1980年MITに客員研究員として滞在していたとき,「アメリカでは,人を採用するとき,採用者側がcurriculam vitae(履歴書)に性別,年齢を書くことを要求すると違法になる」と聞かされ驚かされた.採用者側は「履歴書に記された過去の業績から性別,年齢をほぼ正確に推測できるのであまり問題にならない」とも聞かされた.最近わが国でも年齢や性別を聞くことを抑制しているようではあるが,まだ法制化は,されていない.
 ゴルフ好きの私は,カントリークラブの月例杯競技によく参加する.競技委員会は,順位を決定する際,同じハンディキャップの人が同じスコアーの場合,高齢者を上位にする習慣がある.そのため,張り出される順位表には,生年月日が記されている.あるときゴルフの非常に上手なA女氏の年齢が1歳若くなっているのに気づいた.それから2年間毎年1歳づつ若くなっていた.その後ゴルフには来るが,競技には参加しなくなってしまった.「何で競技に出ないの」と私が尋ねると,「もう月例杯に興味がないから」との答えが返ってきた.年齢を書かせて壁に張り出すなんていう行為をまだカントリー(田舎)クラブはやっているのである.ある友人が「外国人が来ると日本人は過剰な接待,もてなしをするんだよな」「国際的田舎者といわれてもしょうがないよな」と言ったのを思い出す.わが国の男女共同参画はすでに遠隔地の都市のごとく流行に乗り遅れ,欧米の幾つかの国に遅れを取っている,急いで国際的に中心の国になりたいものである.
 今回,男女共同参画委員会学協会発足1周年記念の「ポスター賞」の審査委員長を仰せつかった.審査をすることが非常に楽しみであった.なぜならば延べ会員数が10万人を超える17の学協会がポスターの展示に参加し,その審査をできるからである.期待通りポスターを見るとその学協会の男女共同参画に対する取り組み方が非常によく見えた.他学会の実情を知る由もないので,手前味噌になってしまうことをまずお詫びして,私の所属する応用物理学会は,会長はじめ,委員,事務局がこのことに積極的であるせいか,その積極性がポスターにもよく現れていた.同様に動物学会のポスターも秀逸であった.
 審査委員各位の氏名と所属そして賞の名称と受賞学会名は下表に示すが,審査委員は,男女共同参画に参加している各学協会から自薦,他薦で選ばれ,主観でしかも公正に審査することを要請した.その結果,前二者が最優秀賞に選ばれた.
 男女共同参画がますます積極的に推進され,そして男女共同参画が空気と水のごとく社会に溶け込むまで,連綿とこのような企画が行われることを期待したいものである.

ポスター賞選考委員
委員長 白石 正 (応用物理学会,東海大学)
委員 宮下 礼子 (化学工学会,日本科学技術研修所)
吉江 尚子 (高分子学会,東京大学)
松村 竹子 (日本化学会,(有)ミネルバライトラボ)
大澤 京子 (日本原子力学会,日本原子力学会総務)
吉祥 瑞枝 (日本女性科学者の会,東邦大学)
浅島 誠 (日本発生生物学会,東京大学)

受賞学会
最優秀賞 応用物理学会,日本動物学会
優秀賞 日本女性科学者の会,日本化学会
ビジュアル賞 地盤工学会,日本発生生物学会,日本分子生物学会,日本原子力学会
ユニーク賞 日本宇宙生物科学会,日本蛋白質科学会
アクティビティ賞 日本生理学会,日本物理学会
このページのトップへ 戻る