OYO BUTURI
Vol.86
No.9
2017
9
20179869755
応用物理 第86巻 第9号 (2017)
今月号の概要

自動車およびパワーデバイス/低温プロセスおよびフレキシブルデバイス/先端計測技術および単一細胞エレクトロポレーション応用

『応用物理』編集委員会

今号では,自動車エレクトロニクス,シリコンカーバイド(SiC)パワーデバイス,フレキシブル有機エレクトロルミネセンス(有機EL)ディスプレイ,フレキシブル基板上での単結晶シリコン(Si)電界効果トランジスタ(MOSFET),全高分子型有機太陽電池,室温原子層堆積法,サブナノ秒過渡吸収測定を実現した新たな分光測定手法,および走査型イオン伝導顕微鏡による単一細胞エレクトロポレーションを取り上げます.

「解説」では,電動化や自動運転など,自動車における近未来の技術革新を支えるエレクトロニクス技術(自動車エレクトロニクス)の現状分析と将来の課題についてわかりやすく紹介します.また,大面積かつフレキシブルなデバイス,中でもディスプレイデバイスは,大画面・超高精細なスーパーハイビジョンの家庭普及に向けたキーデバイスと期待されています.丸めて家庭に搬入可能な大画面フレキシブル有機ELディスプレイの実現に向けた技術概要と最新の研究動向に関して広範囲に紹介します.

「最近の展望」では,発電層に電子ドナー材料,電子アクセプタ材料ともに共役高分子を用いた全高分子型の有機薄膜太陽電池に関して解説します.ここ数年の効率向上がどのようにして実現されたのか,今後のさらなる展開のためには何を解決すべきなのかについても解説します.

「研究紹介」では,デバイス応用研究として,実用化が進んでいるSiCパワーMOSFETにおいて,いまだに完全に解決できていない,低チャネル移動度,および信頼性などの技術課題を,異原子導入というアプローチで解決しようとする新しい取り組みについて紹介します.また,単結晶Si相補型MOSFETを水のメニスカス力を利用した新たな手法によりフレキシブル基板上に転写し,異種材料デバイスの集積化を目指した取り組みに関しても紹介します.

低温成膜技術に関して,これまで室温化が困難であった原子層堆積法の室温化の取り組みについて取り上げ,分子の吸着状態の観察といった基礎研究から室温化によって広がったさまざまな材料へのコーティング技術としての応用例を紹介します.

先端計測手法として,従来のポンプ・プローブ法やレーザーフォトリシス法では観測が困難であったサブナノ秒の時間域での過渡吸収測定を実現した新たな手法を取り上げます.独立した2つのレーザーからの非同期パルスを利用したユニークな測定原理を紹介します.また,プローブ顕微鏡のバイオテクノロジーへの応用として,単一細胞への分子導入が可能な走査型イオン伝導顕微鏡について,その原理やエレクトロポレーションの実例を紹介します.

応用物理 第86巻 第9号 p.755 (2017) 掲載