OYO BUTURI
Vol.86
No.8
2017
8
20178868653
応用物理 第86巻 第8号 (2017)
巻頭言

APEX Vol.10 発行の年を迎えて

保立 和夫 1

2017年は,Applied Physics Express (APEX) が Vol.10 を発行する記念すべき年となりました.10年前にこのレター誌の創刊を決断された関係者の皆様,APEXの編集にご尽力された皆様,IOPPublishingとの連携を検討・推進された皆様,そして論文をご投稿いただいた著者の皆様をはじめとして,この間のAPEXの成長に貢献なさった多くの方々に,改めて感謝申し上げます. 応用物理学会に関連する学術・技術領域は,世界的に共通した価値を発揮できる領域です.したがって,必然的に,その成果の発信が世界共通言語でなされることは,成果自体にとっても,研究者・開発者にとっても,重要な意味をもちます.このような学術・技術領域で活動する応用物理学会は,学術・技術に関する世界的な成果発信システムの一端をしっかりと担ってゆく責務を負っています.また,新たな学術的・技術的な成果が,公正に,公平に,厳格に,編集・出版されてゆくプロセスの維持・発展にも,本会として大きく貢献することが求められます.

ご存じのように,昨今の英文論文誌を取り巻く世界的な環境の変化は激しく,新たなジャーナルやレター誌が次々と創刊され,またOpenAccessの浸透などにより論文誌編集・出版におけるビジネスモデルも大きく変化しています.本会としても,このような関連学術誌の世界的な動向を常に的確に把握しつつ,公共性の高い法人がなすべき論文誌編集・出版の意味と在り方について熟慮しながら,上記の責務を果たしてゆかなければなりません.

そのためにも,優れた研究成果を論述したインパクトの高い論文が,APEX と Japanese Journal of Applied Physics (JJAP) に投稿され,出版されて,多くの方々に読み続けられることが大切です.これら論文誌の Visibility は,さらに高めて,維持する必要があります.多くの論文誌は,そのための工夫を戦略的に立案・実施しています.APEX および JJAP としても,公益社団法人が刊行する論文誌としての品位を保ちながら,多くの読者を魅了する論文が掲載されるよう,能動的に工夫し続けたいと思います.

日本国内の学会で編集・出版されている英文論文誌は数多くあります.その中で,APEX の Visibility は相対的によい位置を維持しているといえましょう.それだけに,私たちにはさらなる努力が求められます.もっともっとVisible にすることが,上記の責務を果たし続けるためには必須です.グライダーのように悠然と,学術の大空を滑空できる論文誌でありたいと思います.そのためには,まずは牽引(けんいん)して高度をとり,次には風を読んで上昇し続ける必要があります.応用物理学会は,牽引方策の立案・実行と,的確に風を読む努力とを,継続してゆかなければなりません.

APEXという英単語には,「頂点」という意味があると伺いました.学術の大空を悠然と滑空する論文誌たらんとする努力を続ける中で,その頂点すら目指してもよいのではないかと思っています.APEX と JJAP へのご投稿,ならびにそれらの編集と出版に関して,今後とも,会員の皆様方からの力強いご支援を賜りますよう,お願い申し上げます.

  • 1 応用物理学会 会長, 豊田工業大学 副学長・教授
応用物理 第86巻 第8号 p.647 (2017) 掲載