OYO BUTURI
Vol.86
No.7
2017
7
20177867551
応用物理 第86巻 第7号 (2017)
今月号の概要

ナノカーボン,電池材料,窒化物半導体,スピントロニクス,ダイヤモンドライクカーボン規格標準化

『応用物理』編集委員会

今号では,グラフェンナノリボン(GNR),カーボンナノチューブ(CNT)といった1次元状のナノカーボン材料,スマートスタック技術を用いた高効率太陽電池や炭素を用いた2次電池の電極材料,スパッタリング法による高品質な窒化物半導体の製造方法,スピン軌道相互作用による高速磁化反転を用いたデバイス応用,および,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の構造解析手法を紹介し,材料開発,デバイス応用から国際規格標準化に関する話題など,多岐にわたるテーマを取り上げます.

グラフェンで課題となるバンドギャップの問題を解決する1つの材料としてGNRが期待されています.そこでプラズマ化学気相成長(CVD)によるユニークなナノリボンの成長法,ならびにそれを活用した集積化成長について紹介します.CNTに関しては熱電応用を目指した研究を紹介します.ナノチューブなどのナノカーボンはp型ドーピングに比べてn型ドーピングは一般に難しいとされています.今号ではこのn型の安定なドーピングが超分子によって可能となることを示すとともに,原理や実際の熱電応用について紹介します.

再生可能エネルギー関連の研究開発として,新たな多接合太陽電池と蓄電池を取り上げました.メカニカルスタック型積層構造を実現する,Pdナノ粒子配列を接合面に配置し異種材料を半導体接合するスマートスタック技術を用い,GaAs系,InP系を接合した4接合太陽電池,およびIII-V族とCuInGaSeやSiを接合した太陽電池の特性に関して紹介します.また,低コストな2次電池の電極材料として期待される,不定形炭素材料・活性炭を用いた全炭素極2次電池の基本特性と大容量化への展望に関して解説します.

デバイス応用として,窒化物半導体とスピントロニクスに関しても取り上げます.III-V族窒化物半導体は,有機気相成長法での結晶成長が一般的でしたが,今号ではスパッタリング法による高品質III族窒化物半導体の形成法について紹介します.また,STT-MRAMに代表されるスピントロニクス技術として,スピン軌道相互作用によるスピントルクを利用した高速磁化反転技術の紹介と人工ニューラルネットワーク応用への展望を解説します.

また,さまざまな分野で応用されているDLC薄膜に関して,構造解析手法をご紹介いただくのと同時に,DLC薄膜関係の国際標準規格制定に至る経緯を解説します.

応用物理 第86巻 第7号 p.551 (2017) 掲載