OYO BUTURI
Vol.86
No.6
2017
6
20176866452
応用物理 第86巻 第6号 (2017)
今月号の概要

量子デバイス,新規材料,プラズマ応用

『応用物理』編集委員会

今号では,量子デバイス,新規材料,プラズマ応用について取り上げます.

量子コンピューティングは,近年まで基礎科学の研究分野というイメージでしたが,最近その開発が急速に進み,次世代の革新的技術として,その発展が期待され民間資金の投入も行われるようになりました.そこで,これまでの固体量子情報デバイスの歴史や開発の現状について報告し,今後を展望します.

新規材料は,これまでにない新しい機能をもつデバイスの実現やさらに高効率なデバイスやシステムの開発には欠かせません.そして,その開発・応用には幅広い分野の融合が必要となります.そこで,高温での使用が可能であるため高効率ガスタービンエンジンへの応用が期待されているSiCマトリクス複合材料に関して,その構造や力学的特性,応用分野について解説します.一方,金属と配位子が周期的に結合して多孔質体を形成する多孔性配位高分子が吸着材料や触媒など,さまざまな応用が期待され注目されています.そこで,多孔性配位高分子の結晶構造設計からマイクロメートルスケールまでのマルチスケール構造設計とともに放射性セシウム吸着材,アンモニア吸着剤,エレクトロクロミック素子への応用を紹介します.また,結晶が大きいときには発現しなかった分子吸着機能がナノメートルサイズの薄膜化によって発現する金属有機構造体についても紹介します.さらに,近年トランジスタ動作が報告されたグラフェンの炭素をケイ素に置き換えたシリセンの電子状態に関する実験および計算の両面からの研究に関して紹介します.

プラズマ技術は,半導体微細加工から医療応用まで多種多様な応用例のある技術の1つです.一方,近年,太陽光発電などの分散型電源や蓄電池システムの導入に伴い直流遮断器の需要が増加しています.そこで,気液界面プラズマを用いた水処理技術と電力応用例であるハイブリッド直流遮断器を紹介します.

応用物理 第86巻 第6号 p.452 (2017) 掲載