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第2回化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)
受賞者紹介

化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)表彰委員会委員長
後藤俊夫

化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)は、赤﨑勇氏が2009年京都賞を受賞された際の賞金の一部を基金として設立されました。本賞は、化合物半導体エレクトロニクス分野において新しい技術の開発、発明、新原理の発見、または卓越した実証システムの構築等において顕著な業績をあげた方一名または一件に対して顕彰いたします。

今年度の機関誌「応用物理」による公募に対して推薦のあった候補者3名及び規定により前年度推薦のあった候補者2名を含め合計5名を選考対象者として、2011年12月開催の表彰委員会において慎重な審議をおこなった結果、荒川泰彦氏を第2回化合物半導体エレクトロニクス業績賞(赤﨑勇賞)の受賞者に決定いたしました。

受賞者:
荒川 泰彦 氏(東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長、東京大学生産技術研究所教授、ナノエレクトロニクス連携研究センター長、日本学術会議会員、ミュンヘン工科大学客員教授、大連理工大学名誉教授)
業績:
化合物半導体量子構造光デバイスに関する先駆的研究

荒川泰彦氏は、化合物半導体における量子効果を基礎として、電子および光子、更にそれらの相互作用の極限的制御を追求してきました。同氏は、従来に無い極めて斬新な着想に基づき、光通信技術、量子鍵配送などの量子情報技術やエネルギー変換技術などに至る幅広い応用分野において、従来構造を驚愕する性能を示すデバイスを提案するとともに、その機能を実証しました。長年にわたる同氏の取組・業績は、半導体量子力学デバイス研究の学術的発展を切り拓いたばかりではなく、その産業応用にもつながっており、化合物半導体エレクトロニクス分野の発展に多大な貢献をしています。

同氏の研究業績の根幹をなすのは、1982年、Applied Physics Letter誌に掲載された量子ドットレーザに関する論文です。この論文において、同氏は半導体量子ドットの概念を提案すると共に、半導体レーザの活性層として用いることでその閾値電流密度の温度特性が大幅に改善することを予測するとともに、量子井戸レーザに強磁場を印加して擬似的な3次元電子閉じ込めを実現し、その効果を実証しました。この論文は、半導体量子ドットに関する世界最初の論文であり、被引用回数 2,200回以上を数えています。この数字は、世界中の化合物半導体研究者が本論文を参考とし研究を推進してきたことを示す証拠であり、同氏の卓越した洞察に基づく新概念提案が、世界の半導体ナノ構造研究に多大なる影響を与えてきたことを意味します。同氏の業績は、ベンチャー企業設立につながっており、量子ドットレーザ技術の実用化にも多大な貢献を果たしています。特に、富士通研究所との協働研究の成果として2004年に報告された温度安定性が高く高速変調可能なInAs/GaAs量子ドットレーザは、その後の量子ドットレーザの実用化につながる成果として位置づけられています。

そのほかにも同氏は、化合物半導体量子構造デバイスの分野において、常に先駆的研究を推進し、継続して世界を先導する成果を次々に挙げ続けています。また、各種プロジェクトの代表研究者などの様々な立場で、分野を力強く牽引する最も優れた先導者、世界のオピニオンリーダーとしての役割を果たしています。さらに、多くの優れた後進研究者も輩出し続けており、化合物半導体エレクトロニクス分野の今後の発展に対する貢献も多大です。

本賞の授賞式はこの春の応用物理学関係連合講演会の会場(2012年3月15日(木)夕刻、早稲田大学)でおこなわれます。また、受賞を記念して「化合物半導体量子構造光デバイスに関する先駆的研究」に関する記念講演(早稲田大学)を予定しています。是非ご参加ください。

2010年度 化合物半導体エレクトロニクス業績賞表彰委員会
委員長
後藤俊夫(中部大)
委員
澤木宣彦(愛工大)、中野義昭(東大)、奥村元(産総研)、岸野克巳(上智大)、吉川明彦(千葉大)、福井孝志(北大)、木本恒暢(京大)、天野浩(名大)