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第10回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)
受賞者紹介

光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)表彰委員会委員長 加藤義章
光・量子エレクトロニクス業績賞は、光・量子エレクトロニクス研究分野において顕著な業績をあげた研究者を顕彰することを目的として、宅間宏先生(電気通信大学名誉教授)の紫綬褒章(応用物理部門)受賞記念パーティーと定年記念会におけるご祝儀、および宅間宏先生からのご寄付を基金として1999年に設立されました。

第10回光・量子エレクトロニクス業績賞の選考は、「応用物理」6,7,8月号に掲載された公募に対して2008年10月31日までの過去3年間に推薦があった10件の候補者について表彰委員会において慎重な審議を行った結果、神谷武志氏および渡部俊太郎氏(50音順)の両氏を第10回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)の受賞者に決定しました。

なお、授賞式は2009年春季学術講演会(筑波大学)の初日夕刻に行われます。
また両氏の受賞記念講演が学術講演会の会期中に行われますので、是非ご参集ください。


  • 受賞者:神谷武志氏(東京大学名誉教授、独立行政法人情報通信研究機構プログラムコーディネーター)
  • 業績:超高速光エレクトロニクスに関する先駆的研究と長年にわたる唱導
神谷武志氏は、超高速光エレクトロニクスに関する先駆的研究を行うと共に、その重要性を長年にわたり唱導し、我が国の光情報通信に関する研究開発を先導してきました。

神谷武志氏は1970年代から半導体レーザーの高速化とその利用を主軸として研究を展開し、利得スイッチによる4ピコ秒光発生(1989年)、光ファイバーソリトン効果パルス圧縮による65フェムト秒光発生(1996年)など、各時点での世界最短パルス発生を実現しました。
また、超高速光計測法による時間分解能2ピコ秒の高速フォトダイオードの電圧波形計測、光を用いたデジタル信号処理の先駆的研究となる光電子集積回路の検討など、超高速光エレクトロニクスに関し広範囲の先駆的な研究を行いました。

また、1995年に開始された大型研究プロジェクト「フェムト秒テクノロジー」に運営ボードとして参画し、時間軸(超高速)、波長軸(広帯域)、空間軸(超並列)を駆使した超大容量情報システムの重要性を説くと共に、自らもTDM/WDM信号変換実験、多重量子井戸を可飽和吸収体とする全光スイッチモジュールなどを実現しました。さらに、超高速フォトニクスの現状と将来に関する総合報告を応用物理(2001年、応用物理学会論文賞受賞)、JJAP(2005年、招待レビュー論文)などにまとめるとともに、光情報通信ハンドブックを編纂(2003年)するなど、超高速光エレクトロニクスの発展に多大な貢献をされました。


  • 受賞者:渡部俊太郎氏(東京大学物性研究所教授)
  • 業績:コヒーレント短波長光生成に関する先駆的研究とアト秒非線形光学への展開
渡部俊太郎氏は、1970年代から最先端レーザー開発を基盤として研究を展開し、コヒーレント短波長光の生成と利用に関する研究ではアト秒域非線形光学の道を開くなど多くの先進的な研究成果を挙げると共に、レーザー産業や物性物理学の進歩にも大きな貢献をされました。

1980年代には紫外域エキシマーレーザーの高出力・高繰り返し・短パルス化で世界をリードする成果を挙げ、さらにこの技術を産業界に移転し、エキシマーレーザーの実用化を実現しました。次いでエキシマーレーザー光の高次高調波生成に取り組み、世界最短波長高調波光の発生に成功しました(9.9nm、1991年)。また、高出力超短パルスチタンサファイアレーザーを独自に開発し、2波長励起高調波生成、原子双極子位相補償高調波パルス圧縮など、電子運動制御に基づく高調波生成・制御法を開発しました。
さらに、極紫外域での初めての非線形光学となるEUV2光子イオン化を実現し、これを用いた自己相関測定により、アト秒域単一パルスの波形と位相を決定できることを示しました。

渡部氏の他の重要な業績として、物性物理学への貢献が挙げられます。固体レーザーの高調波変換で生成した狭帯域EUV光を物性研究者の使用に供し、実現が困難であったサブmeV分解光電子分光を可能にしました。その結果超伝導体のバンド構造に関する多くの新知見が相次いで得られており、物性物理/レーザー科学協働研究における目覚しい成果となっています。

2008年度 光・量子エレクトロニクス業績賞表彰委員会
  • 委員長 加藤義章
  • 委員 植田憲一、大木裕史、五神真、小林哲郎、清水富士夫、鈴木義二、中沢正隆