応用物理学会
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第9回光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)受賞者紹介

受賞件数:1件
受賞業績名:周期的分極反転型非線形光学素子に関する先駆的研究
受賞者氏名、所属:伊藤弘昌氏(東北大学名誉教授・東北大学客員教授)、
山田正裕氏(ソニー(株)ビデオ事業本部)


伊藤弘昌氏と山田正裕氏は、強誘電体非線形光学材料の周期的分極反転による擬似位相整合型非線形光学素子を世界に先駆けて実現し、非線形光学デバイスの発展に極めて重要な貢献をした。

非線形光学過程による高効率波長変換には、光波間の位相整合が必要であり、非線形光学材料に対する大きな制約となる。位相整合をとれない媒質でも、光学軸の交互反転により擬似的に位相整合を得る擬似位相整合法が米国で1962年に提案されたが、実用的な素子は実現されていなかった。

伊藤弘昌氏は1988年に世界で初めて、チタンの熱拡散によりニオブ酸リチウム光導波路に周期的分極反転構造を形成できることを示した。次いで、熱拡散法で課題とされた高精度の分極反転構造を形成する方法として、山田正裕氏は1989年に、結晶表面に電極を配列し、電界により周期的分極反転を形成する方法を考案した。また、山田正裕氏、伊藤弘昌氏は、電子ビーム描画による分極形成法も1991年に発表した。両氏が開発した分極反転法は、直ちに多くの研究機関で利用され、非線形光学デバイスの飛躍的な発展をもたらした。周期的分極反転素子を用い、伊藤弘昌氏は高効率テラヘルツ波発生、山田正裕氏は電界駆動型光偏向器などの重要な開発を行っている。

周期的分極反転構造は、導波路型あるいはバルク型素子として、波長変換、光変調、高密度情報記録など多様な方法で利用され、現在も極めて活発な研究・開発が行われている。この重要な分野の端緒を開いた両氏の業績は、光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)にふさわしいものである。

光・量子エレクトロニクス業績賞(宅間宏賞)表彰委員会
委員長  加藤義章
委員  植田憲一、大木裕史、五神真、小林哲郎、清水富士夫、鈴木義二、中沢正隆
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