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第9回光・電子集積技術業績賞(林厳雄賞)受賞者紹介

光・電子集積化技術業績賞(林厳雄賞)表彰委員会委員長
伊藤良一

光・電子集積化技術業績賞は,故林厳雄氏が2001年に京都賞を受賞された際の賞金の一部を基金として,光技術と電子技術を融合し集積化することにより高度な機能を得るための新しいデバイス技術やシステム化技術に関わる研究と当該分野の発展に資する目的で設立された賞です.会誌「応用物理」による公募に対して推薦のあった3名の候補者について昨年11月開催の表彰委員会において慎重な審議をおこなった結果,小山二三夫氏を第9回光・電子集積技術業績賞(林厳雄賞)の受賞者に決定いたしました.

受賞者:
小山 二三夫 氏 (東京工業大学 精密工学研究所 フォトニクス集積システム研究センター教授)
業績:
波長制御・集積化面発光レーザに関する先駆的研究

小山二三夫氏は1980年東京工業大学電気電子工学科卒業後,同大学大学院理工学研究科電子物理工学科博士課程に進み,1985年動的単一モードレーザの研究で工学博士の学位を取得しました.その後,東京工業大学精密工学研究所助手,同助教授を経て,2000年同教授に昇進,現在は同フォトニクス集積システム研究センター教授として研究・教育に従事しています.同氏は,助手就任直後から現在まで,大容量の光リンク・光インターコネクトの実現を目指して面発光レーザおよびその関連技術の研究に注力し,多大な成果を挙げ,この分野における世界の第一人者として目覚しい活躍を続けています.なお,面発光レーザは,1977年に伊賀健一氏(東工大教授(当時),現東工大学長)によって発明された光デバイスで,極めて小さい消費電力動作,安定な単一波長動作,高速直接変調動作,並列多チャンネル集積が可能など,光ネットワークの光源に必要とされる多くの優れた特徴を有しています.

小山二三夫氏は,伊賀健一氏とともに1988年に面発光レーザの室温連続動作に世界で初めて成功,続いて素子の微小化を進めて半導体レーザとして初めて100μAを切る当時世界最小発振しきい電流値を達成するなど,面発光レーザのその後の飛躍的な進展を可能とした礎を築くのに大きく貢献しました.その後同氏は,光リンク・光インターコネクトの大容量化・高密度化・小型化の中核技術として波長の活用に着目し,面発光レーザの波長制御・集積化の研究開発でめざましい成果を上げてきました.

まず,メサや溝を形成した非平坦結晶基板上への結晶成長により,共振器長の異なる面発光レーザを多数集積し,広い波長範囲にわたる多波長面発光レーザ集積アレイを実現しました.さらにこの手法を発展させ,面発光レーザを110個,波長間隔0.1nm・間隔20μm間隔で集積し,波長軸・空間軸ともに高密度の波長多重光源の可能性を示しました.一方,波長制御の観点では,面発光レーザ技術とMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)技術を融合することにより,発振波長が周囲温度に依存しない波長安定化アサーマル面発光レーザや発振波長を電気的に制御できる波長可変面発光レーザを実現しました.

小山二三夫氏によるこれらの波長制御・集積化面発光レーザ技術は,今後のLAN/WANなどの地域ネットワークから通信機器間・コンピュータ機器間・ボード間・ボード内,さらにはLSIチップ上など,きわめて広範な階層の情報ネットワークにおいて,光の波長資源を縦横に活用することを可能にし,ネットワークの大容量化・高密度化・低消費電力化・小型化を実現する上で必須の基盤技術です.同氏の研究は光技術(面発光レーザ)と電子技術(MEMS)の融合により,光電子融合・集積の新しい方向性を開拓した点できわめて先駆的であり,光・電子集積技術進展への大きな貢献です.

本賞の授賞式はこの春の応用物理学関係連合講演会の会場(2012年3月15日の夕刻、早稲田大学)でおこなわれます.また,受賞を記念して春季学術講演会の会期中に記念講演を予定しています.是非ご参加ください.

2011年度 光・電子集積技術業績賞表彰委員会
委員長
伊藤良一
委員
片山良史,小林功郎,小柳光正,島田潤一,武田光夫,三杉隆彦,米津宏雄,和田修