ホーム 本会の賞 研究分野業績賞 受賞者 第6回光・電子集積技術業績賞(林厳雄賞)受賞者紹介 戻る

第6回光・電子集積技術業績賞(林厳雄賞)受賞者紹介

光・電子集積化技術業績賞(林厳雄賞)表彰委員会委員長 伊藤良一
光・電子集積化技術業績賞は,故林厳雄氏が2001年に京都賞を受賞された際の賞金の一部を基金として,光技術と電子技術を融合し集積化することにより高度な機能を得るための新しいデバイス技術やシステム化技術に関わる研究と当該分野の発展に資する目的で設立された賞です.会誌「応用物理」による公募に対して推薦のあった5名の候補者について昨年11月開催の表彰委員会において慎重な審議をおこなった結果,太田淳氏を第6回光・電子集積技術業績賞(林厳雄賞)の受賞者に決定いたしました.

太田氏は1983年に東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後,三菱電機(株)に入社しました.同社中央研究所で,光・電子集積回路,光ニューラル回路,人工網膜チップなどの研究開発に従事しました.プロジェクトメンバーとして研究・開発・製品化にたずさわった人工網膜LSIはスマートCMOSイメージセンサとして初の製品化であり,大きなインパクトを与えました.

1998年に奈良先端科学技術大学院大学に転任後も引き続きスマートCMOSイメージセンサの新方式・応用の研究を進め,変調光検波方式CMOSイメージセンサ,光無線LAN用CMOSイメージセンサなどの研究・開発をおこないました.さらに,太田氏はバイオメディカル分野の重要性に着目し,2002年には国内でいち早くパルス周波数変調方式を用いた人工視覚デバイスを発表しました.これは網膜を電気パルスで刺激することにより人工視覚を得ようとするものであり,それ以後大阪大学医学部などと連携してこの分野の研究を進めています.

この研究で提案した分散型刺激電極方式のCMOSイメージセンサ技術は,実用的な視覚に必要な1000個以上の刺激点数が実現でき,生体内埋植が可能なことを実証した光・電子集積技術の画期的な試みです.人工視覚研究の発展の一つとして,太田氏は脳内埋植型スマートCMOSデバイスの研究開発にも取り組んでいます.

これは,光・電子機能集積化を活かして,イメージセンシングを含む多機能を集積化したCMOSチップをマウスの海馬内に埋植することにより,脳内での記憶メカニズムを生体内計測する画期的なデバイスであり,すでにいくつかの研究室で利用が始まっています.太田氏のこれらの研究はそれ自体卓越したものですが,光・電子集積技術の新分野への展開という意味でも高く評価されます.

本賞の授賞式はこの春の応用物理学関係連合講演会の会場(2009年3月30日(月)夕刻、筑波大学)でおこなわれます.また,受賞を記念して「光・電子技術の融合化による高機能イメージングデバイスの開発と実用化」に関する記念講演(筑波大学)を予定しています.是非ご参加ください.

  • 受賞者:太田 淳氏 (奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科教授)
  • 業績:光・電子技術の融合化による高機能イメージングデバイスの開発と実用化

2008年度 光・電子集積技術業績賞表彰委員会
  • 委員長 伊藤良一
  • 委員 片山良史,小林功郎,小柳光正,島田潤一,武田光夫,三杉隆彦,米津宏雄,和田修